2012年6月30日土曜日
箱庭じゃない「広場」を
昨年の6月1日に更新した「ニイガタブックライト」の冒頭、
「ブログ、いつも見てますよ。ああ、今日も更新してないって・・・」
という書き出し。それを私に言った、「AニマSジオのMさん」こと
アノニマスタジオ(当時)南さんと今日も電話で話をした。
「ブログ、ここまで更新しないと逆に気になりますね・・・作戦ですか?」
はい。いつもすみません。作戦だなんて滅相もございません。
結局何にも変わってないです私。と反省しつつも、1年経っても相変わらずな
その会話が嬉しかったりして。
ただ、会話は相変わらずでも、ちょっとした時間の経過というものを
感じずにはいられない。
南さんは昨年までのアノニマスタジオの南ではなく、今年は焙煎家、
オオヤミノルさんとともに、鎌倉を拠点になにやら楽しそうな試みを
始めています。その名も「鎌倉ハウス」。シンプルでいいね!
先日、当店にて開催された「オオヤコーヒクラス」もその活動のひとつ。
隔月の開催となりますが、初回と第2回目のみ1ヶ月間隔となります。
というのも、当初5月の予定だったこの企画を、せっかくならば
「一箱古本市」と連動できないかということで、オオヤさん、南さんに
日程を調整してもらったのでした。そんなわけで、もうすべてが過去の話と
なってしまいましたが、第1回目のオオヤミノル独演会(笑)じゃなくて
コーヒクラスと、その翌日の「オオヤコーヒ屋台」。コーヒ屋台の舞台となった
ニイガタブックライトvol3 一箱古本市in現代市も、大盛況のうちに
終了しました。ご来場いただいた皆様、どうもありがとうございました。
そしてここが肝心なんですが、次回のコーヒクラスも目前に迫っております。
日時は、7/6(金)15:00~17:00と、19:00~21:00。
前回同様、昼夜2回に分けての開催です。夜の部はすでに定員に達しておりますが
15:00からの回に若干の余裕がございます。店頭、お電話、メールにて
お申し込みください。定員に達し次第締め切らせていただきます。
料金は3,000円となります。
このコーヒクラス、回を重ねるごとに狭き門になっていきそうな気配がします。
それもそのはず、オオヤさんのお話、抜群に面白いですからね。
1度聞いたらやめられない。7月以降、年内は9月と11月に開催します。
初回を含んで、今週の2回目も「テイスティングレクチャー」。このテイスティングレクチャーを
受けた方のみ(最低1回は)、その先の「トレーニング」へと進めます。
先は長いですよ!私は多くの皆様に、オオヤミノルを体感してもらいたいと思っています。
この間、北書店が無事続くのかも興味のあるところ・・・
先日のコーヒクラスに、東京から某出版社の編集者氏がいらしていました。
オオヤさんのお友達だそうで。夜、皆で打ち上げをしたその席で彼が言うには、
「北書店って、ドーピングしてなくていいっすね」
本屋は本を売ってこその本屋だと。
だけど個人でやっているお店ってそれ以外の何か、例えば雑貨だとかカフェだとか、
イベントなんかが中心になっているお店が多い。そこへいくと北書店は、
本が前面に出ている感じがいい、というような意味のことを彼氏なりの言葉で
言うとこうなるようで。面白ぇじゃねえか!(笑)
その言葉が、何だかやけに印象に残っていて、いつまでも頭から離れずにいます。
口癖になってたりして。「やべえやべえ、ドーピングしすぎ(笑)」みたいな。
その論で言うと、コーヒー教室を書店内で隔月開催なんてのはこれ、まさにドーピング
じゃねえかとなりそうなものですが、不思議とそんな感じが一切しない。
それどころか、この「オオヤコーヒクラス」は、新潟においては北書店でしか
ありえないのでは?という気さえしています(強気)。空間が馴染んでいる。とか、
丁度良い広さ。とかいう次元の話ではなく。
オオヤさんのコーヒーに対するときの哲学、なんていうと、「ちょろいよ、こんなの」
と返ってくるオオヤさんの言葉の奥に隠されたものは?
それは多分、私がこれまで「本」と向き合ってきた過程で得られた感覚と似ている
んじゃないかなあと、勝手ながらそう考えています。そして、まだまだ足りない。
というか「上がり」なんてないんだそもそも。知識や技術とも違うもの、よその本屋を
見てまわって「お勉強」しているだけじゃあ到底得られないもの・・・
我ながら面倒くさいことを書いています。とにかく多くの人に興味を持ってもらいたい
ということに尽きます。第2回オオヤコーヒクラス、7月6日、今度の金曜日に開催です。
尚、そんなに大仕掛けではありませんが、先日の一箱会場で、コーヒーにはちと
うるさいよ、というような人びとの舌をも魅了した、「オオヤコーヒ屋台」も、お昼の12時
前後から北書店内にて営業します!椅子も数席ご用意していますので、オオヤさんの
淹れるコーヒーを、ぜひ飲みにいらしてください。
ドーピング云々はともかくとして、実際本屋のいいところは、いろいろな面白い人たちや
物事と、違和感なく関わることが出来るというか、空間を、もっといえば「広場」をつくれる
といった一面もあるわけで。例えばそれが八百屋だったり、蕎麦屋、洗濯屋、床屋といった
各種お店でもかまわないのですが、そうなるとやけにその本業以外がクローズアップされ、
「メッセージ性のある八百屋」という感じになっちゃったりして・・そこへいくと本屋はいいよなあ。
狙ってやろうとしたって出来るものじゃないような、いろんな人たちが、そこで自由に
楽しめるような、そんな「広場」でありたいな。コーヒー教室でも一箱古本市でも。
そしてその広場の片隅が似合う北書店でありたいなと、なんとなくそう考えて今日のところは
これでおしまい。
ところで普段の北書店はどうなのよ?と聞かれると、このブログではなかなか分かりずらい
ですね、すいません。「そこは言葉ではなく棚作りに・・」なんて言い方じゃあ伝わらない世の中
だということも、なんとなく感じてはいるんですがね。
ただ現在、ある冊子からの依頼を受けて、「北書店のこの2年」をテーマにちょっと長い
文章を書いています。発売の日程等、詳細が確定次第この場にてご紹介させていただきますので、今しばらくお待ちください。
ではまた近いうちに(いつだよ)
2012年4月22日日曜日
オオヤミノル再び
ようやく新潟にも春が来て、ここ数日は穏やかな天候でしたが、
そうこうするうちにあっという間に夏が来る。慌しくなりますよ!
6月開催の、2大イベントのご案内です。
「オオヤコーヒクラス」はじまります

おいしいコーヒーは、「知識」や「道具」で
出来るのではありません。自分の味の好みを知り、
自分の方法を見つけることで手に入ります。
コーヒー豆を1つの食材として考え、
“味わう事”、“もてなす事”の楽しさや
“ロマンティックな時間は食卓にある”
という考えを参加者の皆様と共有する
クラスにしたいです。
プロ・アマ問わずおいしいコーヒーを探されている方々、
お気軽にご参加下さい。
オオヤコーヒ焙煎所
オオヤミノル
************************************************************
オオヤコーヒ焙煎所のコーヒクラスです。
コーヒーの味を感じる力とドリップ(コーヒーをいれること)のテクニックは
同居しています。舌で感じたことを日常の言葉で表して、
味の仕組みと仲良くなってドリップという行為を体で覚えることで、
好みの味にアプローチします。
そのための2つのカリキュラムで構成しています。
[ティスティング レクチャー]
コーヒーを飲みながら、舌で感じた事(味)を考え、
日常の言葉で表すことで、味の仕組みと仲良くなるためのカリキュラム
[トレーニング]
始めから最後までコーヒーを入れ続けて、
ドリップ(コーヒー豆をしぼり、こす)という行為を体で覚えるカリキュラム
ティスティングレクチャー8回、トレーニング4回、全12回のクラスです。
全回通しでも、数回でも、途中からのご参加も可能です。
尚、トレーニングへの参加は、テイスティングレクチャーに1度でも参加した方のみとします。
1回目 テイスティングレクチャー①
「ネルドリップとペーパードリップ」
ネルドリップのための「ネル」を制作します。
縫物をしつつ、ペーパーとネルによる味の違いを味わって
コーヒーはどんな液体なのかを考えます。
♦日時 6月9日(土)
1回目 15時~17時
2回目 ●19時~21時
♦定員 各回15名
♦料金 3,000円
♦持ち物 裁縫道具(針と糸、裁ちバサミ、糸切りバサミ)
♦お申し込み
北書店までお願いします。
店頭・お電話・メールにてお申し込みください。
*************************************************
昨年12月のトークイベントが大盛況だった
焙煎家,オオヤミノルさんの「コーヒ」教室を
隔月開催!第1弾は6月9日の土曜日です。
お昼と夜の2コースをご用意。ご都合のよろしい方を
選択してください。1コースの定員は15名。料金3,000円となります。
第1回目、昼・夜どちらも満数に達しました。ありがとうございました。
そして後日改めてご案内しますが,翌日の10日日曜日は
昨年に引き続き、新潟市中央区学校町通りにて開催される「現代市」会場にて、
ニイガタブックライトvol3 一箱古本市in「現代市」を開催します!
ニイガタブックライトvol3 一箱古本市in「現代市」を開催します!
出店者募集は5/1(火)から受け付けます。詳細はニイガタブックライトHPにて。
(この画面左上のブックライトマークから)
このイベントが新潟の初夏の風物詩となりますように。
過去参加された方、「今回こそは」というあなた、来る日に向け、そろそろ準備をして
おいてください。
一箱会場と、恒例の北書店での懇親会に、今回は誰がゲストで来るだろう?
コーヒ教室と一箱イベントが連日開催なのはなぜだろう?
北書店もニイガタブックライトも、現在諸々準備中です。続報をお楽しみに。
2012年4月12日木曜日
ホッチキスでとめよう
ここへ来てようやく春らしくなったかと思えば
雨が降るとまだまだ寒いなあ。
「今年の冬は長かった」、といいつつ振り返れば
新潟の冬はだいたいこんなもんじゃないかとも思えてきて。
一昨年の冬、北光社最後の1週間は比較的穏やかで、
閉店となった1月31日も終日暖かかったことを覚えている。
店は修羅場だったけれど。
連日の報道のおかげで、北光社にはそれまで見たこともないほどの
(少なくとも私は)大勢のお客様が訪れ、暖かい声や、壁からはみ出るほどの
たくさんの寄せ書きをいただいた。幸福感に満ちた幕引きは、この北光社が
もうすぐなくなってしまうのだということを、一瞬忘れてしまうような時間だった。
穏やかな1月が明けて早々に、それまでの反動のような大雪が降った。
反動は天候ばかりではない。大団円の閉店(というのも矛盾しているが)
のあとに待っているのは残務処理という現実だった。
夜、人の往来もまばらになる時間に合わせて、店に横付けされた4トントラックは
数台の列を作り、そこに一定のリズムを保ちながら、最後まで売れ残った本を
詰めた何百というダンボールを取次店の人たちとリレーで運び込んだ。
ものすごい吹雪のなかを。
数日前の光景がウソのような、スッカラカンになった店内を見渡したとき、
天候と同様のものすごい振り幅を感じた。「ポッカーン・・・」という感じ。
分かっていたこととはいえ、それはもう圧倒的な現実だった。
雪はその後も勢いを増し、翌日は新潟市で考えればとんでもない量の
積雪となった。閉店の決まった頃はおぼろげだった「自分で本屋をやる」という
選択肢は、この時すでに選択肢ではなくなり、明確にその道を「選択」
していたので、まだまだ一向に片付かない細かな残務処理の合間に、
めぼしい空き物件を探すため、雪に足をとられながら古町中を歩き回った。
平日の真昼間、毎日忙しくしている友人が、仕事を休んでだまって私に
付き合ってくれた。
予想以上に古町は、自分にはどうしても敷居が高く、商売としては未知数の
この場所に行きついた。始めてみないことには全くわからないのは当然だが
それでもこれまでの経験が自分の背中を押してくれるだろうと思っていた。
しかしそれから始まった具体的な準備のための時間は、そのわずかばかりの
自信をあっさりと打ち消していった。閉店直後に感じた振り幅は、めぼしい物件が
決まったというだけのこの時点では、まだほんの序の口に過ぎなかったのだ。
自信だなんだと言う以前に、なんともマヌケな自分。使用できそうな本棚を
物色するため、夜中の北光社に許可を取って忍び込んだはいいが、セキュ
リティーの都合上、一箇所に指定されている出口が、什器物色中の数時間で
すっかり雪に覆われてしまい、警備会社に連絡を入れて、別の出口から外に
廻って雪かきしてから、へとへとになって帰る、なんてこともあった。そこで疲れて
どうする。おまけに完全に不審者だ。
そんな失態を連発するにつけ、冬の空模様も手伝って不安度は最高潮に達した。
その失態の数々は、さすがに気が滅入るので書かない(長いし)。ただ、落ちたら
あとは上がるだけとはよく言ったもので、なんとか開店にこぎつけられそうだという
実感も、少しずつ自覚できるようになったある日、北光社からのお客様である
老夫婦が、うわさを聞きつけて作業中の私の様子を覗きに来てくれた。
2ヶ月ほどの時間が、何年分にも感じられたあの瞬間、私にむかって
その老夫婦は「ありがとう」と言った。
それはこっちの台詞なのに。
開店予定日が1週間後に迫った頃、注文した本が次々と入荷してきた。
といっても自分の資金力で仕入れられる量はたかが知れている。それでも
最初に注文するのだからその本たちは自分にとっては特別なものだ。
もうだいぶ以前にある冊子に書いたのだが、もう一度書けば、最初の
一箱目の梱包を解いたとき、その「なじみの顔たち」は私に向かってこう言った。
「しかし懲りないヤツだね君は」。
自分でイチからつくった、古びた北光社の棚板を使用した真新しい店内に
ひたすら本を並べ続けて、2年前の4月12日、ひとまず開店した「北書店」。
最初の1ヵ月くらいの記憶は断片的なもので、所々見事に抜け落ちている。
初めて来店くださった旧知のお客様に、「ようこそいらっしゃいました」と言うと、
「開店したばっかりのときに来たじゃないの」と言われることがときどきある。
ただ、北光社閉店から北書店開店までの2ヶ月半の間に味わった寂しさやら
不安といった感情が消えていったことは覚えている。反動だ。
「儲かってるか?」と聞かれたら、思いっきり首を横に振る。
「いまどき本屋をやるなんて無理じゃない?」と言われたらどうだろう。
というかよく言われる。ともあれ2年間はなんとか無事に(?)過ぎた。
先のことはよく分からないというのが正直なところではあるけれど。
正直ついでに書くと、1年前の今頃も、このブログで少し振り返ってみようと
思っていた。それでも書かなかったのはなぜかというと、やはり当時の出来事が
まだ自分の中に生々しく存在していたからなのかも知れない。ウソ。わからない。
さらに1年があっという間に過ぎた今、その感情の置き所というものも
変わってきている。あたりまえの話だ。特にこの季節はいろんな変化がある。
昨年、ふとしたことから始まった一箱古本市開催にむけて、一緒にイベントに関わった
仲間がこの春転勤で新潟を離れた。
場所柄、常連になってくださり、尋常ではない蔵書をお持ちの本好きな
市役所のおじさんも、ちょっと出てくるには遠い街へ異動になった。
毎月雑誌を買いにこられる、お医者様であろう方(よくよく考えたらそういう話をしなかった)が、
仕事をやめ、福島にいる家族と暮すことに決めたという。
再会を誓うとはいえ、彼らとはこれから先、そうそうすぐには会うことができない。
せっかく知り合えて、お客様になってくれた人たちとの別れというのはやはり寂しいものだ。
最後だからかもしれないけれど「ここに この本屋が出来てよかった」と言われれば
やはり感情が動く。遠くに行ってしまうのなら、せめてブログくらいまめに更新しなくては
という気持ちにもなる。そんなことをなんとなく思いながら、今日この日記を書いた。
素直に実感できる言葉というものがあるとするならば、そういった日々のやり取りから
得る感情の中にしかない。つまりは何かといえば「ありがとう」ということだ。
・・・2ヶ月ぶりに更新したと思ったら、なんだか終始暗いトーンですいませんでした。
だらだらと書いてしまいましたが結局のところ、それしか言葉がありません。
もう少し有益な情報をすばやく提供しなくてはいけないのでしょうが、多分これからも
こんな調子です。ともかくも、多くの皆様のおかげで何とか2年が経ち、今日この
北書店は3年目を迎えます。
ここで冒頭のタイトルに強引に結び付けてしまいます。
強引なんだけど妙に実感のこもった言葉なのです。1月に北書店へ来てくださった
谷川俊太郎さんの本からいただきました。フェア用に仕入れた本をパラパラとめくっていて
すっかりはまっちゃった。ちくま文庫の「詩めくり」。うるう年を含んだ1年366日分の、
ご本人曰く、季節感もなければ、名言、教訓のたぐいもないという詩のひとつひとつが
時々とてもグッと来る。そのなかから、本日、北書店の誕生日4月12日の詩で
この長いブログを締めちゃおう。
四月十二日
ホッチキスでとめよう
パチリパチリ
何かの紙 何でもない紙
恨む紙 笑う紙 涎たらす紙 唯一の紙
風に飛ばないように
ホッチキスでとめよう
気分でてる。最高。
谷川さん、ありがとう。
ついでに谷川さんの誕生日の詩もご紹介。
十二月十五日
僕はこの日に出現したとされていると
戸籍課の依田さんは言います
ありがとう依田さん
おめでとう僕
誰か何かくれ
うん、これもいい(笑)
それでは皆様、3年目の北書店もよろしくお願いいたします。
北書店 佐藤雄一
雨が降るとまだまだ寒いなあ。
「今年の冬は長かった」、といいつつ振り返れば
新潟の冬はだいたいこんなもんじゃないかとも思えてきて。
一昨年の冬、北光社最後の1週間は比較的穏やかで、
閉店となった1月31日も終日暖かかったことを覚えている。
店は修羅場だったけれど。
連日の報道のおかげで、北光社にはそれまで見たこともないほどの
(少なくとも私は)大勢のお客様が訪れ、暖かい声や、壁からはみ出るほどの
たくさんの寄せ書きをいただいた。幸福感に満ちた幕引きは、この北光社が
もうすぐなくなってしまうのだということを、一瞬忘れてしまうような時間だった。
穏やかな1月が明けて早々に、それまでの反動のような大雪が降った。
反動は天候ばかりではない。大団円の閉店(というのも矛盾しているが)
のあとに待っているのは残務処理という現実だった。
夜、人の往来もまばらになる時間に合わせて、店に横付けされた4トントラックは
数台の列を作り、そこに一定のリズムを保ちながら、最後まで売れ残った本を
詰めた何百というダンボールを取次店の人たちとリレーで運び込んだ。
ものすごい吹雪のなかを。
数日前の光景がウソのような、スッカラカンになった店内を見渡したとき、
天候と同様のものすごい振り幅を感じた。「ポッカーン・・・」という感じ。
分かっていたこととはいえ、それはもう圧倒的な現実だった。
雪はその後も勢いを増し、翌日は新潟市で考えればとんでもない量の
積雪となった。閉店の決まった頃はおぼろげだった「自分で本屋をやる」という
選択肢は、この時すでに選択肢ではなくなり、明確にその道を「選択」
していたので、まだまだ一向に片付かない細かな残務処理の合間に、
めぼしい空き物件を探すため、雪に足をとられながら古町中を歩き回った。
平日の真昼間、毎日忙しくしている友人が、仕事を休んでだまって私に
付き合ってくれた。
予想以上に古町は、自分にはどうしても敷居が高く、商売としては未知数の
この場所に行きついた。始めてみないことには全くわからないのは当然だが
それでもこれまでの経験が自分の背中を押してくれるだろうと思っていた。
しかしそれから始まった具体的な準備のための時間は、そのわずかばかりの
自信をあっさりと打ち消していった。閉店直後に感じた振り幅は、めぼしい物件が
決まったというだけのこの時点では、まだほんの序の口に過ぎなかったのだ。
自信だなんだと言う以前に、なんともマヌケな自分。使用できそうな本棚を
物色するため、夜中の北光社に許可を取って忍び込んだはいいが、セキュ
リティーの都合上、一箇所に指定されている出口が、什器物色中の数時間で
すっかり雪に覆われてしまい、警備会社に連絡を入れて、別の出口から外に
廻って雪かきしてから、へとへとになって帰る、なんてこともあった。そこで疲れて
どうする。おまけに完全に不審者だ。
そんな失態を連発するにつけ、冬の空模様も手伝って不安度は最高潮に達した。
その失態の数々は、さすがに気が滅入るので書かない(長いし)。ただ、落ちたら
あとは上がるだけとはよく言ったもので、なんとか開店にこぎつけられそうだという
実感も、少しずつ自覚できるようになったある日、北光社からのお客様である
老夫婦が、うわさを聞きつけて作業中の私の様子を覗きに来てくれた。
2ヶ月ほどの時間が、何年分にも感じられたあの瞬間、私にむかって
その老夫婦は「ありがとう」と言った。
それはこっちの台詞なのに。
開店予定日が1週間後に迫った頃、注文した本が次々と入荷してきた。
といっても自分の資金力で仕入れられる量はたかが知れている。それでも
最初に注文するのだからその本たちは自分にとっては特別なものだ。
もうだいぶ以前にある冊子に書いたのだが、もう一度書けば、最初の
一箱目の梱包を解いたとき、その「なじみの顔たち」は私に向かってこう言った。
「しかし懲りないヤツだね君は」。
自分でイチからつくった、古びた北光社の棚板を使用した真新しい店内に
ひたすら本を並べ続けて、2年前の4月12日、ひとまず開店した「北書店」。
最初の1ヵ月くらいの記憶は断片的なもので、所々見事に抜け落ちている。
初めて来店くださった旧知のお客様に、「ようこそいらっしゃいました」と言うと、
「開店したばっかりのときに来たじゃないの」と言われることがときどきある。
ただ、北光社閉店から北書店開店までの2ヶ月半の間に味わった寂しさやら
不安といった感情が消えていったことは覚えている。反動だ。
「儲かってるか?」と聞かれたら、思いっきり首を横に振る。
「いまどき本屋をやるなんて無理じゃない?」と言われたらどうだろう。
というかよく言われる。ともあれ2年間はなんとか無事に(?)過ぎた。
先のことはよく分からないというのが正直なところではあるけれど。
正直ついでに書くと、1年前の今頃も、このブログで少し振り返ってみようと
思っていた。それでも書かなかったのはなぜかというと、やはり当時の出来事が
まだ自分の中に生々しく存在していたからなのかも知れない。ウソ。わからない。
さらに1年があっという間に過ぎた今、その感情の置き所というものも
変わってきている。あたりまえの話だ。特にこの季節はいろんな変化がある。
昨年、ふとしたことから始まった一箱古本市開催にむけて、一緒にイベントに関わった
仲間がこの春転勤で新潟を離れた。
場所柄、常連になってくださり、尋常ではない蔵書をお持ちの本好きな
市役所のおじさんも、ちょっと出てくるには遠い街へ異動になった。
毎月雑誌を買いにこられる、お医者様であろう方(よくよく考えたらそういう話をしなかった)が、
仕事をやめ、福島にいる家族と暮すことに決めたという。
再会を誓うとはいえ、彼らとはこれから先、そうそうすぐには会うことができない。
せっかく知り合えて、お客様になってくれた人たちとの別れというのはやはり寂しいものだ。
最後だからかもしれないけれど「ここに この本屋が出来てよかった」と言われれば
やはり感情が動く。遠くに行ってしまうのなら、せめてブログくらいまめに更新しなくては
という気持ちにもなる。そんなことをなんとなく思いながら、今日この日記を書いた。
素直に実感できる言葉というものがあるとするならば、そういった日々のやり取りから
得る感情の中にしかない。つまりは何かといえば「ありがとう」ということだ。
・・・2ヶ月ぶりに更新したと思ったら、なんだか終始暗いトーンですいませんでした。
だらだらと書いてしまいましたが結局のところ、それしか言葉がありません。
もう少し有益な情報をすばやく提供しなくてはいけないのでしょうが、多分これからも
こんな調子です。ともかくも、多くの皆様のおかげで何とか2年が経ち、今日この
北書店は3年目を迎えます。
ここで冒頭のタイトルに強引に結び付けてしまいます。
強引なんだけど妙に実感のこもった言葉なのです。1月に北書店へ来てくださった
谷川俊太郎さんの本からいただきました。フェア用に仕入れた本をパラパラとめくっていて
すっかりはまっちゃった。ちくま文庫の「詩めくり」。うるう年を含んだ1年366日分の、
ご本人曰く、季節感もなければ、名言、教訓のたぐいもないという詩のひとつひとつが
時々とてもグッと来る。そのなかから、本日、北書店の誕生日4月12日の詩で
この長いブログを締めちゃおう。
四月十二日
ホッチキスでとめよう
パチリパチリ
何かの紙 何でもない紙
恨む紙 笑う紙 涎たらす紙 唯一の紙
風に飛ばないように
ホッチキスでとめよう
気分でてる。最高。
谷川さん、ありがとう。
ついでに谷川さんの誕生日の詩もご紹介。
十二月十五日
僕はこの日に出現したとされていると
戸籍課の依田さんは言います
ありがとう依田さん
おめでとう僕
誰か何かくれ
うん、これもいい(笑)
それでは皆様、3年目の北書店もよろしくお願いいたします。
北書店 佐藤雄一
2012年2月8日水曜日
今週末は東京です
今年で4回目を迎える「本当におもしろい本」だけを集めた
本好きのためのブックフェア「BOOK MARKET」。
昨年に引き続き、
アノニマ・スタジオ、カワウソの2ヶ所で
2/10~2/12の3日間開催いたします。
今年は出展社さんも増え、
より皆さまに楽しんでいただける3日間になるかと思います。
ぜひお誘いあわせの上、ご来場ください。
アノニマスタジオ冬の一大イベントBOOKMARKET2012。
今年はもう少し早くご案内しようかと思っていたのに結局こうなる。
前日、というより当日夜中に告知していた昨年よりは少しはマシですが。
北書店は今回で3度目の参加となります(1回目は北光社として参加)
いつもお声掛けいただきましてありがとうございます。大変光栄に思います。
過去2回は筑摩書房さんのブースの選書を任されていたのですが
今回そういった制約は一切なく、「北書店さんにおまかせで」ときたもんだ。
机一本分のスペースに、北書店をどう表現しようかと、あれこれ悩みました
というのはウソです。悩んでいるヒマもなかったので、というかセレクトのしようが
ないのでここはひとつ店頭にあるお勧めを持っていきます。「今日出てくれ」と
いわれれば、ささっと見繕って持っていけるだけの品揃えを普段からやっていれば
問題ないわけですからね(言い訳)現時点でどんなラインナップになるかは私にも
分かりませんが、明日の気分で箱に詰めて送っちゃいましょう。A西さん、よろしくね。
すべての出展者さんのブースから、トータル3冊お買い上げのお客様にはトートバッグ
がついてきますよ。これが毎年とても素敵なんです。北書店も、今回のイベントに
あわせたオリジナルカバーを持っていく予定です。予定って!早く作れよ。F井君、
いつもいつもすいません。もちろん通常の北書店カバーもお持ちします。昨年、
書皮大賞という栄えある賞をいただきました当店のブックカバー。こちらもぜひ
持ち帰っていただけたらと思います。
● 出展社
アノニマ・スタジオ、アトリエ・ヴィ、WINDCHIME BOOKS、
京阪神エルマガジン社、出張北書店、青幻舎、ナナロク社、
P-Vine Books、ミシマ社、ミルブックス、凹凸舎、monday Books、
サルビア、三角波、44 fourruof、古本ricca
主催のアノニマさんはもちろん、連続参戦のミシマ社さん青幻舎さんミルブックスさん
に加えて、今回はさらに魅力的な顔ぶれですね!ナナロク社さん、先日の谷川さん
イベントのときは、日帰りで駆けつけてきてくださいました。またお会いできるのが楽しみです。
他にもエルマガさんに、「日々」を発行されているアトリエヴィ、P-Vine Booksさんは新潟日報に
隔週連載の超面白コラム、ファーマーズ・ハイでおなじみの、そがしんいちさんの本を出されている
版元さんですね。このイベントは、出展される皆さんとの交流もとても楽しみなのです。
前回に引き続き、今回も会場が2つに分かれています。もうひとつの会場はカワウソさん。
カワウソは、昨年、当店にて開催したオオヤミノルさんのイベントにゲスト出演してくださった
大沼ショージさん、 萬田康文さんの事務所です。アノニマから徒歩5分。窓の向こうには
隅田川が流れてとてもいい眺め。スカイツリーも見えましたっけ?こちらでは主に雑貨が
メインになるようですよ。これまた昨年10月にお世話になった三角波さんも参加ですね。
今週の金曜日から3日間、終日滞在予定です。お店の方はすみませんが土日はお休みと
させいていただきます。金曜日は、私は不在ですが営業しています。
それでは週末、蔵前でお会いしましょう。皆様のご来場をお待ちしています。
それはそうと選書しなきゃ・・・
2012年2月7日火曜日
本があればこそ
2週間ほど経過してしまいましたが、1月21日、谷川俊太郎さんが
北書店へ来てくださいました。
イベント前日、新潟駅まで谷川さんをお迎えに行きました。
ホームで到着を待っている間も、「ホントに来るのかしら?」
という思いが少なからずありましたが、谷川さんはお一人で
大きなカバンを抱えてやってきてくださいました。
「谷川さん、ようこそ!あの・・・お荷物お持ちしますが・・・」
「あなた年寄り甘やかしちゃいけませんよ。さ、行きましょう!」
颯爽と階段を下りながら気さくに話しかけてくださる谷川さん。
「僕、雨男なんだよ」
「あ、私、比較的晴れ男です」
「じゃあ、アナタの勝ちだね」
この2週間の大寒波の予兆なのか、
谷川さんのいらした2日間はわりと穏やかな天候でした。
せっかく冬の新潟へいらっしゃったわけですから、雪景色を
お見せできたらよかったんですが、そう伝えると、
「来る途中でいっぱい見たからもういいよ」と。
宿へと向かう車の中で、さすがに軽く打ち合わせた方がいいかなと思い、
「谷川さん、明日の件ですがどういう流れで行きましょうか?」と聞けば、
「アナタ、同じ話2度するの好き?」
「いえ、苦手です」
「じゃあいいよ。明日話しましょう!」
お会いしてからこの間、約30分程度の時間でしたか、私は
「詩人、谷川俊太郎」を前にただもうシビレるばかり。
開店以来、初めての展開へ突入しようとしている北書店の会場設営をはじめる頃は
何だか緊張感はあるのですがそれ以上の高揚感がありました。
イベント当日、スタッフ含めて総勢100名近い人たちで北書店は満杯になりました。
狭い店内、書籍販売や席決めなど、スムーズに進行できたのはスタッフおよび、
ご来場いただいた皆様のご協力のおかげです。本当にありがとうございました。
本番はなんというか、あとはもう皆さんで谷川さんと楽しい時間を過ごしましょう
という程の気持ちでいたのですがいかがだったでしょうか?
本と本屋についてのお話をと、なんとなくそう決めて挑んだこのトークショー、
しかしそんな大枠は軽々飛び越えて気ままに、気さくにポンポンと飛び出すフレーズ。
「生まれたときから本の山に囲まれていて、今も読みたくても読みきれないほどの
本が手元にあって・・・「本」ていうのはさあ、僕にとっては愛憎半ばする存在」
「この前Tシャツ作ってね。『地元の詩人を大切にしましょう』って書いてあるの(爆笑)
北書店で扱ってくれる?」
「『ア○ゾン』便利だよ~(笑)。おたく扇風機売ってないでしょ?」
いや・・・谷川さんが「持って来い」と言うのならばどこへでも持って行きますがね。
「僕のデビュー作、『二十億光年の孤独』がいまだに書店で売られているというのは
本当にありがたいことです」
「谷川さんも私も、それからここにいる皆さんも、いつかはこの世からいなくなる
じゃないですか。確実に。だけどこの『二十億光年の孤独』は残りますよね」
「ホント?アンタそれ保障してくれる?(笑)」
そんなやりとりから話しは電子書籍、そしてまさかのア○ゾン礼賛へ。ここ、本屋なのに(笑)
昨日初めてお会いしたとは思えないような感覚に陥ってしまいそうでしたが、
谷川さんはとにかく明るくて元気で、それで自由だ。
「そんなことないんだよ。暗いんだよ僕」
すぐにそんな答えが帰ってきます。
サービス精神全開の後半戦は詩の朗読など。
楽しい時間が過ぎるのって、こんなに早かったっけね?
最後は、朝の会だからとリクエストした、『朝のリレー』の朗読から
「歌で締めた方が盛り上がるんだから(笑)」と、『誰もしらない』をカラオケで。
これがまたよかった!『NHKみんなのうた』の第1回目の放送なんですか?
違うのかな?「わかんなかったら調べなさいよ!」と言う谷川さんの声が聞こえてきそう。
和田誠さんのイラストレーションが印象に残っていたのですが歌は聞いたことが
なかった。まさかご本人の生歌で聞けるとは。
真冬の白昼夢。あっという間の3時間は、記念写真撮影とサイン会で閉幕と
なりました。この記念写真ですが、お客様分の用意は出来ていますので、いつでも
取りにいらしてください。
谷川俊太郎さん、北書店へ来てくれてありがとうございました。
『二十億光年の孤独』はこれから先も読み継がれるでしょう。私が保証します。
あのとき、電子書籍に話題が移っちゃいましたが、この詩集は、やっぱり実体ある
「本」そのものがいいようですよ。サンリオ版の。或いは集英社文庫の。
私はこれからも、それをこの北書店から多くに人たちに手渡したいし、そういう毎日
の延長にこそ、こんな夢のような出来事は起こるんじゃないですか?
100年先の、どこかの家の本棚の片隅にある、よれよれになった『二十億光年の孤独』は
どこからやってきたのだろう?そんなことを想像するだけでも楽しいじゃないですか。
それではまた。ふたたびここへ来てくださることを願いつつ。そのときは掃除機でも
洗濯機でも、必要ならば遠慮なくお申し付けくださいね。用意しておきますから。
1年越しで実現した今回のイベントでしたが、周到な準備をしてお迎えすることは出来ず、
これがあと1年先だったとしても同じようにバタバタとしているに違いありません。
北書店はそういう本屋なのです。ですが、だからこそ実現できることもあるようです。
ご来場いただいた皆様、ありがとうございました。これからも北書店をよろしくお願いいたします
さてさてバタバタは絶賛継続中です。結局直前になって大慌てしている有様。
今週末のお知らせがあるんですがいったんここで終了します。
北書店へ来てくださいました。
イベント前日、新潟駅まで谷川さんをお迎えに行きました。
ホームで到着を待っている間も、「ホントに来るのかしら?」
という思いが少なからずありましたが、谷川さんはお一人で
大きなカバンを抱えてやってきてくださいました。
「谷川さん、ようこそ!あの・・・お荷物お持ちしますが・・・」
「あなた年寄り甘やかしちゃいけませんよ。さ、行きましょう!」
颯爽と階段を下りながら気さくに話しかけてくださる谷川さん。
「僕、雨男なんだよ」
「あ、私、比較的晴れ男です」
「じゃあ、アナタの勝ちだね」
この2週間の大寒波の予兆なのか、
谷川さんのいらした2日間はわりと穏やかな天候でした。
せっかく冬の新潟へいらっしゃったわけですから、雪景色を
お見せできたらよかったんですが、そう伝えると、
「来る途中でいっぱい見たからもういいよ」と。
宿へと向かう車の中で、さすがに軽く打ち合わせた方がいいかなと思い、
「谷川さん、明日の件ですがどういう流れで行きましょうか?」と聞けば、
「アナタ、同じ話2度するの好き?」
「いえ、苦手です」
「じゃあいいよ。明日話しましょう!」
お会いしてからこの間、約30分程度の時間でしたか、私は
「詩人、谷川俊太郎」を前にただもうシビレるばかり。
開店以来、初めての展開へ突入しようとしている北書店の会場設営をはじめる頃は
何だか緊張感はあるのですがそれ以上の高揚感がありました。
イベント当日、スタッフ含めて総勢100名近い人たちで北書店は満杯になりました。
狭い店内、書籍販売や席決めなど、スムーズに進行できたのはスタッフおよび、
ご来場いただいた皆様のご協力のおかげです。本当にありがとうございました。
本番はなんというか、あとはもう皆さんで谷川さんと楽しい時間を過ごしましょう
という程の気持ちでいたのですがいかがだったでしょうか?
本と本屋についてのお話をと、なんとなくそう決めて挑んだこのトークショー、
しかしそんな大枠は軽々飛び越えて気ままに、気さくにポンポンと飛び出すフレーズ。
「生まれたときから本の山に囲まれていて、今も読みたくても読みきれないほどの
本が手元にあって・・・「本」ていうのはさあ、僕にとっては愛憎半ばする存在」
「この前Tシャツ作ってね。『地元の詩人を大切にしましょう』って書いてあるの(爆笑)
北書店で扱ってくれる?」
「『ア○ゾン』便利だよ~(笑)。おたく扇風機売ってないでしょ?」
いや・・・谷川さんが「持って来い」と言うのならばどこへでも持って行きますがね。
「僕のデビュー作、『二十億光年の孤独』がいまだに書店で売られているというのは
本当にありがたいことです」
「谷川さんも私も、それからここにいる皆さんも、いつかはこの世からいなくなる
じゃないですか。確実に。だけどこの『二十億光年の孤独』は残りますよね」
「ホント?アンタそれ保障してくれる?(笑)」
そんなやりとりから話しは電子書籍、そしてまさかのア○ゾン礼賛へ。ここ、本屋なのに(笑)
昨日初めてお会いしたとは思えないような感覚に陥ってしまいそうでしたが、
谷川さんはとにかく明るくて元気で、それで自由だ。
「そんなことないんだよ。暗いんだよ僕」
すぐにそんな答えが帰ってきます。
サービス精神全開の後半戦は詩の朗読など。
楽しい時間が過ぎるのって、こんなに早かったっけね?
最後は、朝の会だからとリクエストした、『朝のリレー』の朗読から
「歌で締めた方が盛り上がるんだから(笑)」と、『誰もしらない』をカラオケで。
これがまたよかった!『NHKみんなのうた』の第1回目の放送なんですか?
違うのかな?「わかんなかったら調べなさいよ!」と言う谷川さんの声が聞こえてきそう。
和田誠さんのイラストレーションが印象に残っていたのですが歌は聞いたことが
なかった。まさかご本人の生歌で聞けるとは。
真冬の白昼夢。あっという間の3時間は、記念写真撮影とサイン会で閉幕と
なりました。この記念写真ですが、お客様分の用意は出来ていますので、いつでも
取りにいらしてください。
谷川俊太郎さん、北書店へ来てくれてありがとうございました。
『二十億光年の孤独』はこれから先も読み継がれるでしょう。私が保証します。
あのとき、電子書籍に話題が移っちゃいましたが、この詩集は、やっぱり実体ある
「本」そのものがいいようですよ。サンリオ版の。或いは集英社文庫の。
私はこれからも、それをこの北書店から多くに人たちに手渡したいし、そういう毎日
の延長にこそ、こんな夢のような出来事は起こるんじゃないですか?
100年先の、どこかの家の本棚の片隅にある、よれよれになった『二十億光年の孤独』は
どこからやってきたのだろう?そんなことを想像するだけでも楽しいじゃないですか。
それではまた。ふたたびここへ来てくださることを願いつつ。そのときは掃除機でも
洗濯機でも、必要ならば遠慮なくお申し付けくださいね。用意しておきますから。
1年越しで実現した今回のイベントでしたが、周到な準備をしてお迎えすることは出来ず、
これがあと1年先だったとしても同じようにバタバタとしているに違いありません。
北書店はそういう本屋なのです。ですが、だからこそ実現できることもあるようです。
ご来場いただいた皆様、ありがとうございました。これからも北書店をよろしくお願いいたします
さてさてバタバタは絶賛継続中です。結局直前になって大慌てしている有様。
今週末のお知らせがあるんですがいったんここで終了します。
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